ホットカーペットと床暖房は、共に床を温める暖房器具です。似ているようでそれぞれに違いがあります。ホットカーペットと床暖房のどちらを導入しようか迷っている方は、それぞれの特徴を知ることが重要です。
今回は、ホットカーペットと床暖房の特徴をメリット・デメリットと共に紹介します。それぞれの特徴を知って、どちらを導入するか検討する際の材料にしてくださいね。
床暖房とホットカーペットの特徴を比較
はじめに床暖房とホットカーペット、それぞれの特徴を比較しながら紹介します。どちらも足元を中心に温める暖房器具なのは共通していますが、相違点もたくさんあります。
どちらを導入しようか迷っている場合は、参考にしてください。
室温が上がるのは床暖房
床暖房は、輻射熱を発するので時間はかかりますが部屋全体を温められます。一方、ホットカーペットは伝導熱でカーペット自体を温めるので、温かくなるのはホットカーペットの触れている部分だけです。
したがって、床暖房は温暖な地域や気密性の高い部屋ならば、単独で部屋全体を温める暖房器具として使用できます。例えば、晩秋の頃に足元が寒い場合は、床暖房をつければ快適に過ごせるでしょう。
一方、ホットカーペットはエアコンやストーブと併用して利用すると、足元から天井まで部屋を効率よく温められます。
購入費用が安いのはホットカーペット
ホットカーペットの値段が数千~1万円代なのに対し、床暖房は1畳あたり数万円が相場です。今すぐ足元を温めたい場合は、ホットカーペットが便利です。また、賃貸物件に住んでいて物件自体に手を加えられない場合も、ホットカーペットならば問題ありません。
その一方で、床暖房は「長く使える」「長時間使えばランニングコストが良い」などのメリットもあります。
赤ちゃんや高齢者が安全に使えるのは床暖房
ガスを熱源とする温水式床暖房は、接触面が35℃前後なので長く使っていても低温やけどの心配がありません。皮膚感覚が若い年代に比べると、鈍くなっている高齢者でも安心して使えます。また、床暖房は正しい使い方をしていれば、火災の危険性はほぼありません。
一方、ホットカーペットは設定温度をうっかりいじってしまったり、高い温度のまま使い続けたりすると低温やけどの危険があります。現在のホットカーペットは安全性が高い製品がほとんどですが、万が一に備えて小さい子どもや高齢者が単独で使用する際は、注意が必要です。
短時間使用の省エネ性能が高いのはホットカーペット
ホットカーペットは温まるまでの時間が短く、頻繁にスイッチを入れたり、切ったりしてもさほど光熱費に変化はありません。
一方、床暖房は温まるまでに45分~1時間かかります。また、立ち上がりの際に最もエネルギーを使うので、頻繁にスイッチを入れたり切ったりするとそれだけ光熱費がかかります。
しかし、長時間使用する場合、ランニングコストは床暖房のほうが高いです。つまり、短時間使うならばホットカーペットのほうが省エネ性能が高く、長時間利用するならば床暖房のほうが省エネ効果は高くなります。生活スタイルに応じて適した暖房器具を選ぶのがおすすめです。
寿命が長いのは床暖房
床暖房の寿命は、メンテナンスをしっかりしていれば、30年以上といわれています。一方、ホットカーペットの寿命は5~8年前後です。なお、寿命はあくまでも目安ですが、長く安全に暖房を使いたい場合は、床暖房がおすすめです。特に、マイホームを建てる、古い家をリフォームして長く住むといった場合は床暖房を設置すると何かと便利でしょう。
一方、数年ごとに引っ越すなど、ライフスタイルが変わりやすい場合は、ホットカーペットをその都度買い替えるほうが無駄がありません。また、家にいる時間が短い方も、ホットカーペットのほうが手早く温まるので適しています。
床暖房の設置が向いているケース
床暖房の設置が向いているケースは、以下のとおりです。
●家にいる時間が長く、ランニングコストの良い暖房器具を探している
●家を新しく建てる、もしくは大規模リフォームを予定している
●高齢者や小さな子どものために、少しでも安全性の高い暖房器具を使いたい
温暖な気候の地域で気密性の高い家に住んでいる場合は、冬場でも床暖房だけで過ごせるケースもあります。また、ガスを熱源とする温水式の床暖房の場合は、大型のガス給湯器も必要です。新しく家を建てたり大幅なリフォームをしたりする場合が、最も設置のタイミングとしては適しているでしょう。
ただし、既存の床の上に床暖房を設置する直貼り工法を利用すれば、小規模なリフォームでも床暖房が設置可能です。
床暖房とホットカーペットに関してよくある質問
最後に、床暖房とホットカーペットに関するよくある質問を紹介します。
床暖房とホットカーペットが併用できるかなど、お悩みを抱えている方は参考にしてください。
ホットカーペットは床暖房の代わりになる?
床暖房を導入する理由が「足先や下半身が冷えやすいので温めたい」「エアコンだけだと部屋の下のほうが寒いので、それを解消したい」であれば、ホットカーペットでも十分代用が可能です。
しかし、エアコンの代わりの暖房器具として使いたい場合は、ホットカーペットでは不十分です。ホットカーペットは熱伝導でホットカーペットに触れている部分だけを温めます。ホットカーペットから体を離すと、温かみを感じられません。
一方、床暖房は輻射熱により、長時間使うほど部屋の中がじんわりと温まっていきます。
気密性が高い家ならば、床暖房だけでもある程度室温をあげられるでしょう。
冬の主力暖房器具として使いたいなら、ホットカーペットでは不十分です。
床暖房とホットカーペットは併用できる?
床暖房とホットカーペットの併用はできません。敷いた個所に床暖房の熱がこもり、フローリングに隙間やヒビ割れなどの変形や変色を生じることがあります。また、部屋が暖まらない等、床暖房の性能が発揮できない場合もあるでしょう。
床暖房のスイッチにロックをかけて使用不可にしてからホットカーペットを敷いて使うことはできます。しかし、これでは床暖房を設置した意味がありません。特に、リフォームで床暖房を設置する場合は、本当に必要かどうかよく考えましょう。
それぞれの特徴を把握して設置する暖房器具を決めよう
床暖房とホットカーペットは、同じような用途の暖房器具に見えて、いろいろな違いがあります。どちらを使おうか迷っている場合は、床暖房とホットカーペットのどちらが使い勝手がいいか、それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで判断しましょう。
なお、どちらにするか迷った場合は、当社にご相談ください。お客様のご希望をしっかりとお聞きしたうえで、最適なご提案をさせていただきます。
Q.床暖房の熱源は電気とガスどちらがおすすめでしょうか?
A.自宅にソーラーパネルを設置しており自家発電をしている場合は、電気式のほうがおすすめです。一方、ガスを熱源とした場合は、ガス会社が提供しているお得なプランを利用できます。
Q.床暖房を後付けで設置する場合、住みながらリフォームは可能ですか?
A.はい。工事中はその部屋は使えませんが、生活する分には問題ありません