介護リフォームは、介護が必要な人だけでなく今後必要となる人にとっても検討したいリフォームです。ただ、どうすればいいのか分からず、業者に言われるままリフォームしてみたら使いづらかったということも少なくありません。
安くはない介護リフォームを成功させるためにも、ぜひ知っておきたい施工内容や介護保険の活用法について詳しくご紹介します。
【1】玄関の介護リフォーム
介護が必要になった場合に、まずリフォームを考えたいのが玄関です。どういった介護が必要になるかによっても内容が変わってきますが、まず必要となるリフォームと共にその費用相場を見ていきましょう。
施工内容の一例
高齢者の場合、歩行が難しくなるため玄関のリフォームは必須です。特に車椅子が必要となる可能性を考え、玄関から車椅子でそのまま入ることができるよう、間口を広くする必要があります。
また玄関前にスロープと手すりを設置すれば、高齢者自身が歩く手助けにもなります。さらに玄関ドアは開きドアより引き戸にしたほうが、扉を開けるスペースが不要となるため家の中に入るまで最低限の移動だけで済みます。
費用相場
玄関に手すりを設置するだけ、段差を解消するだけであればそれほど費用はかかりませんが、介護リフォームの場合は玄関ドアを交換するなどいくつかのリフォームを同時にすることがほとんどです。
玄関ドアの交換だけなら、ドアのグレードにもよりますが10万円から20万円ほどが相場です。ただし引き戸にするための玄関スペースがない場合などは、追加工事が必要となるためトータルで50万円近く必要となることもあります。
【2】浴室の介護リフォーム
浴室は高齢者の事故が多い場所です。そのため事故が起きないようにリフォームすると共に、介護しやすい・介護されやすいスペースにすることが必要です。
施工内容の一例
浴室での事故を防ぐために、まず考えたいのが浴室そのもののリフォームと、浴室に設備を追加するリフォームです。自宅で入浴時に多く発生するのが転倒事故なので、床を滑りにくい素材にする、浴槽をまたぎやすい高さのものに交換する、手すりを設置するリフォームがおすすめです。
また入浴を介護する場合は、大人二人が入っても動きやすいよう広くする、温度差が起きないよう冷暖房を設置するといったリフォームも考えておく必要があります。
費用相場
浴室に手すりを設置する、また床を滑りにくい素材に交換するといった部分的なリフォームなら30万円から50万円が相場です。
また、冷暖房を設置する場合も天井の補強などを加えて50万円程度で可能です。ただしシステムバスの交換だと100万円前後、 浴室自体を拡張する場合などは、120万円から150万円かかることもあります。
またシステムバスではない従来型の浴室の場合は、土台から作り直す必要があるため費用もかかります。
【3】トイレの介護リフォーム
トイレのリフォームで考えたいのは、使い勝手と介助のしやすさです。自分自身でトイレに行く場合には、移動に加え体を動かすことも多いので、スペースを広げる必要が出てくることもあります。
また将来的に介助をすることも考え、必要なリフォームを考えるようにしましょう。
施工内容の一例
トイレは立ったり座ったりという動きをする必要があるため、手すりの設置が必須です。また下着の上げ下ろしを考えると、和式よりも洋式のほうが使い勝手がよくおすすめです。
トイレなどの水廻りは冷えやすい場所に設置されていることも多いため、冷暖房の設置も必要となります。さらに、介護のしやすさを考えた場合、寝室から近い場所にトイレを設置することも考えておきましょう。
またドアを引き戸にすると介助しやすく、高齢者自身も使いやすくなるメリットもあります。
費用相場
トイレに手すりを設置する、また便座を交換してリモコン操作ができるようにするといったリフォームであれば、10万円程度の費用で済みます。
ただし便器自体を交換する場合には20万円、手洗い場の設置には5万円から10万円、手すりの設置や壁の補強なども考えると50万円程度が相場です。さらに引き戸への交換、冷暖房の設置や壁に断熱材を入れるといったリフォームだと100万円近く必要になる可能性もあります。
【介護保険】を活用してかしこくお得に!
介護リフォームは、一度すればいいというものではないため、追加で必要になると費用もかさみがちです。そういった場合におすすめしたいのが、介護保険を利用したリフォームです。
すべてが対象になるわけではありませんが、ぜひ利用したい公的な支援です。そこで、ぜひ知っておきたい補助金の対象となるリフォームと、申請の流れについて詳しく見ていきましょう。
補助金の対象となる介護リフォーム
介護保険を使ったリフォームで、対象となるのは手すりの設置、段差の解消、床材を滑りにくい素材や移動しやすい素材へ交換する、扉の交換、洋式便座の交換の5つと、それらに伴う付帯工事の合計6つです。さらに利用できるのは要支援1~2,要介護1~5の認定を受けている人となりますので、事前に確認しておきましょう。
補助金申請の流れ
介護リフォームで補助金を利用したい場合、リフォームの前と後にそれぞれ申請が必要となります。簡単に申請の流れを見ていきましょう。
・ケアマネージャーに相談する
・リフォームの施工業者を決定する
・見積もりとプランを作成し自治体に事前申請をする
・自治体の承認を得てから工事開始、リフォーム代金を支払う
・工事完了後に領収書と工事費の内訳書、そしてリフォームをしたことが分かる写真を添付の上で事後申請をする
・承認後、規定の補助金が支給される
ここで注意したいのは、介護リフォームの代金は、全額を先に支払う必要があることです。さらに、支給対象であっても支給限度基準額は20万円で、そのうち1~3割は自己負担となることも忘れないようにしましょう。