自宅をリフォームすると、所得税や固定資産税など税金面で優遇される制度があるのをご存じでしょうか?必要書類を揃えて確定申告をすることで一定額が控除となります。会社にお勤めの方には確定申告はあまり馴染みがないかもしれません。
しかし、場合によっては数十万円以上もの減税につながるケースもあります。この記事ではリフォームやリノベーションにおける所得税の控除や確定申告の仕方、必要となる書類などについて解説します。
リフォームした際は確定申告すると税金が控除
リフォームをしたあとの確定申告は義務ではありません。しかし、一定の要件を満たしていれば、確定申告で所得税額から一定の額が控除(減額)されます。
確定申告する手間はかかりますが、税金が控除される点は大きなメリットです。以下で享受できる2つの減税制度について紹介します。
住宅ローン減税(住宅ローン控除)
住宅ローン減税は、新築や中古の家を取得した場合に適用されますが、リフォームの場合にも対象です。
制度名 | 住宅ローン減税 |
要件 | 償却期間10年以上のリフォームローンの場合 |
期間 | 改修後、居住を開始した年から10年 |
1年間の控除額 | 改修工事費用相当分の年末ローン残高-補助金等×0.7% |
最大控除額 | 140万円 |
上記の要項は、リフォームした際の住宅ローンの控除についてです。
規模の大きいリフォームでも利用できます。
投資型減税
投資型減税とは、耐久性や省エネルギー性に優れた住宅など、認定されている住宅を取得する場合、住宅ローンを利用しなくても所得税が控除される制度です。
制度名 | 投資型減税 |
要件 | 対象住宅は長期優良住宅と低炭素住宅 |
期間 | 1年間 |
控除額 | 掛かり増し費用(㎡あたり)×床面積(㎡)×10% |
最大控除額 | 65万円 |
なお税制改正により以前あったローン型減税は、投資型減税に統合されました。
リフォーム特例措置が適用される工事の最大控除額
現金で支払う場合も、ローンを利用してのリフォームする場合も、所得税の控除を受けられるのがリフォームの特例措置です。
特例措置が適用されるのは、主に以下の5種のリフォームです。
●耐震リフォーム
●バリアフリーリフォーム
●省エネリフォーム
●同居対応リフォーム
長期優良住宅化リフォーム
自己資金でリフォームした場合は、リフォームが終了した年の所得税からの減額を受けられます。適用されるリフォームの種類を確認しましょう。
耐震リフォーム
昭和56年6月1日にスタートした新耐震基準以前に建築された木造住宅などにおいて、現行の耐震基準を満たすために行うリフォームに適用されます。
主な要件 | 内容 |
適用工事内容 | 新耐震基準を満たすための工事 |
控除対象 | 所得税 |
控除対象限度額 | 250万円 |
最大控除額 | 62.5万円 |
対象となる家屋は、昭和56年5月31日以前に建築され、自ら居住する住宅です。
バリアフリーリフォーム
高齢者の方や要介護・要支援の認定を受けている方、障害のある方もしくは、これらに当てはまる親族と同居している方がバリアフリー改修を行った場合に適用されます。
主な要件 | 内容 |
適用工事内容 | バリアフリー化(手すりの設置、階段の勾配の緩和など) |
控除対象 | 所得税 |
控除対象限度額 | 200万円 |
最大控除額 | 最大60万円 |
対象者は、本人または同居の親族にバリアフリー化が必要な方がいることとなっています。
省エネリフォーム
省エネリフォームは、床や天井、窓、壁の断熱性を上げるために行う工事や、太陽光発電設備や空調、給湯器などの省エネにつながる機器やシステムを導入する工事です。
リフォーム特例措置が適用されます。
主な要件 | 内容 |
適用工事内容 | 省エネ基準を満たす工事・太陽光発電設備など |
控除対象 | 所得税 |
控除対象限度額 | 250万円
※太陽光発電を設置した場合は350万円 |
最大控除額 | 最大62.5万円
※太陽光発電を設置した場合は67.5万円 |
標準的な工事費用相当額から補助金等を控除した額が50万円超であることが対象となります。
同居対応リフォーム
同居対応リフォームとは、親・子・孫の三世代同居を前提にキッチンやお風呂、トイレ、玄関を増設するリフォームです。
主な要件 | 内容 |
適用工事内容 | キッチン、浴室、トイレ、玄関の増設 |
控除対象 | 所得税 |
控除対象限度額 | 250万円 |
最大控除額 | 最大62.5万円 |
少なくともキッチン、浴室、トイレ、玄関のうち1種類を増設し、いずれか2つ以上の設備が複数ある増設の工事に適用され、費用相当額から補助金等を控除した額が50万円超であることが条件になります。
長期優良住宅化リフォーム
長期優良住宅化リフォームとは、住宅の耐久性を良くする工事です。
耐震リフォームあるいは省エネリフォームを行い、リフォーム終了後に自治体から長期優良住宅の認定を取得することが条件になっています。
主な要件 | 内容 |
適用工事内容 | 住宅の耐久性を良くする |
控除対象 | 所得税 |
控除対象限度額 | 600万円 |
最大控除額 | ①62.5万円:耐震または省エネ+耐久性向上の場合
②67.5万円:①+太陽光発電設備設置工事を行う場合 ③75万円:耐震+省エネ+耐久性向上の場合 ④80万円:③+太陽光発電設備設置工事を行う場合 |
住宅の耐久性(耐震、省エネ)の向上のための改修の標準的な工事費用相当額から、補助金等を控除した額がそれぞれ50万円超であることが対象となります。
リフォームに関する知っておきたいお金の豆知識
要件を満たすリフォームを行うと、上記の5つの特例措置対象のリフォームによる所得税の控除以外にも税金が減額されるケースがあります。それぞれ確認していきましょう。
固定資産税も減額に
特定のリフォーム(バリアフリー、省エネ、耐震、長期優良住宅化)の工事を行うと、固定資産税の減額対象となるケースがあります。
確定申告は必要ありませんが、工事が完了したあと3か月以内にお住いの市区町村に申告して手続きすると、工事完了の翌年の固定資産税が減額されます。
軽減額は、バリアフリーと省エネが1/3、耐震が1/2、長期優良化は2/3です。ただし、複数の減額を併用はできません。
贈与税が非課税に
原則として、個人から110万円を超える資金の援助を受ける場合には贈与税がかかりますが、リフォームなどのために親や祖父母(直系尊属)から資金を贈与された場合には、一定額まで税金がかかりません。
適用期限は2023年12月31日で、対象は費用が100万円以上かかる工事です。
確定申告はどうやってすればいい?
リフォームをした年は、必ず確定申告をしましょう。所得税を減税できるので、活用しない手はありません。
各種の減税措置を活用するのであれば、しっかりと確定申告の方法を確認することが大切です。以下で簡単に説明しますので、ぜひ参考にしてください。
いつ確定申告をするの?
確定申告は、1月1日〜12月31日までの1年間に行ったリフォームについて、完工の翌年の2月16日〜3月15日に行います。
2年目以降は職場で年末調整の手続きを行えば、確定申告は必要ありません。
年末調整のときに必要となる書類は以下の2つです。
●給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
●住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(残高証明書)
年末調整のときに、上記2つの書類を添付して提出します。年末調整がない場合は、確定申告をしなければなりません。
どこで確定申告をするの?
必要となる書類を揃えて、確定申告書に必要事項を書き込んだら、お住いのエリアを管轄する税務署で手続きをします。郵送、またはe-taxを利用した申請も可能です。
リフォーム時の確定申告に必要な書類
確定申告に必要となる書類は、どの減税の対象になるかによって変わりますので、共通となる書類について以下で確認します。
税務署から入手 | 控除額の計算明細書 |
金融機関から入手 | 借入金の年末残高等証明書
※住宅ローンがある場合のみ必要で、ローンの年末残高を証明する |
法務局または役所で入手するもの | 登記簿(全部事項証明書)
※家屋の面積や増改築の内容を証明する |
工事の業者から入手 | 増改築等工事証明書
※工事金額や内容を証明する |
その他 | 源泉徴収票(所得を計算する)
生命保険料の証明書(所得控除で必要) マイナンバーカード 身分証明書(運転免許証・パスポート) 印鑑 |
必要書類が数多くあり、時間や手間がかかりますので、なるべく早めに準備を始めることが重要です。
確定申告の手続き終了後、書類に不備がなければ通常は約1か月程度で指定した銀行口座に還付金が振り込まれます。
リフォームのあとの確定申告を忘れていた場合
もし確定申告を忘れていても、過去5年分の手続きはさかのぼって申告できます。
少し手間はかかりますが、確実に減税を受けられるので、5年以内にリフォームをしていれば、さかのぼって申告しましょう。
まとめ
リフォームのあとに確定申告をしっかりと行えば、税金の控除を受けられます。
また、リフォームの内容によっては所得税から控除を受けられます。
会社員の方などは確定申告に不慣れなことと思います。
リフォームの詳細や減税制度・確定申告の提出書類の書き方などについては、
経験が豊富で専門知識をもった弊社にご相談ください。
Q.中古住宅購入と同時にリフォームした場合には住宅ローン控除が受けられるのか?
A.適用条件を満たせば住宅ローン控除を受けることができます。
Q.リフォームの確定申告はリフォーム業者に相談できるのでしょうか?
A.税金の手続きに必要な書類(増改築等工事証明書)は建築士がいるリフォーム会社しか発行できないので、在籍しているかどうかを必ず確認しましょう。